●争続を乗り越えて(余談)　相続争いでお悩みの方々のヒント

私の夫が経験した相続は、事実は小説よりも奇なりで、相続を題材にしたドラマ(遺産争族)や映画(犬神家の一族)に勝るとも劣らない程度に奇怪でした。親族たちの夫に対する長年に及ぶ陰湿な虐めや脅しで生命の危機に直面し2度も救急搬送されました。時が過ぎて今は完全に回復しホッとしていますが、まさに私たちは、人生最大の不幸のどん底を経験したと言えます。

しばらくして、この争続を生んだ原因は何か？どのようにして起きてしまったか？誰が起こしてしまったか？いつ争続に至らしめる種がまかれてしまったか？などなどを考え、その答えもわかりましたが、究極的には、これらの質問に答えが出ても、心は癒されないし、何かが解決するわけでもありません。

というのも、突き詰めて考えれば、誰も責めることができないということに気が付くわけです。争いの種をまいた本人達を取り巻いてきた背景が、本人達に長らく影響を及ぼしていて、もし、自分がその本人の立場であったなら本人よりか、少しは良い結果を生めたかどうかを考えれば、その自信が全くないわけですから。

それを思うと、今の私の置かれた環境は、私に自分の意志発想を表す自由をくれていますし、行動を起こす自由をもくれていますから、恵まれています。それでは、環境がその自由をくれない場合にはどうしたらよいのでしょうか？まずは、自身の置かれている環境を客観的に俯瞰的視点で考えることから始めて、その環境を改善できるか、あるいは、抜け出すかを、試みてはいかがでしょうか？

相続問題は時に人の命をおびやかすということを身をもって知り、各々が各々の心を磨き心の問題を解決していくことに、一族の幸せと、これに導かれるように自身の幸せがあるのだろうと思いました。そして、相続を争続にしないための未然防止策(心を磨き心の問題を解決していくこと)は、まさに「今から」考え、そして実践を始めるのが良いでしょう。また、ご結婚をされた時などは良いきっかけでしょう。子供を儲けるのであれば、遅くてもお子様が生まれる頃までには、というのをお勧めします。そうすれば、円満で幸せな土壌に争続の芽は吹かずに済む事でしょう。

私が、一般社団法人日本不動産仲裁機構の日本不動産仲裁機構ADRセンターのＡＤＲ調停人候補者を目指したのも、相続関連の法律論を振り回して傷を深め合うよりむしろ、自身の特殊な経験を持ってして、相続問題にお困りの方の気持ちに寄り添い、紛争両当事者が、お互いの環境を、お互いの心を、相手の立場に立って考え、理解し、誰かが不本意な悔しさを噛みしめることなく、誰かが罪悪感にさいなまれることなく、ご自身達での円満な解決を、裁判という場ではなく、為せるように、手助けをしていくべきと思ったからなのです。